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試作を繰り返すこと
わたしは、シンプルなものが好きだ。多分、根がバカ正直だから、ということもあるかもしれない。あまり凝ったことをすると、完璧主義の気が出て、身動きが取れなくなる。だから、シンプルなものの方が、性に合ってるのかなと思う。
編み物をするとき、その一目一目を編む手は、とても単純な動きを繰り返している。糸の輪に針を通して、そこに糸を引っ掛けて、引っ掛けた糸と針を輪から引き抜く。ただ、それだけのことだ。その動きを、何百回、何千回、何万回、何十万回と繰り返す。糸と針を同じ手の動きで導くことで、編み地がつくられていく。とてもシンプルだ。
もちろん、編み物でも驚くほど手の凝った作品をつくることもできるし、色をどんどん変えて、配色で遊ぶこともできる。模様編みが好きな人もいれば、配色を変えて楽しむのが好きな人もいる。そのあたりの楽しみ方は自由だし、どんなふうに楽しんでもいい。
わたし自身は、棒編みならガーター編み、かぎ針編みなら長編みが好き。だから、基本はこの編み方を駆使して、カーディガンやベスト、ブランケットや帽子を編んでいる。ガーター編みも長編みも、わたしの編み物の原点になった編み方で、どちらも八つのときに祖母に教わったものだ。(もちろん、本やレシピを参照すれば他も編み方もできます。)シンプルなものが好きというのは、結局は原点となるものへのこだわりでもあるのかもしれない。
今、新しく試作しているものがある。ブランケットとして編み始めたのに、たまたま肩にかけてみたらすごく可愛くて、ポンチョのようなカーディガンのようなものにしたくて試行錯誤中。ほぼ同じ色合わせの長方形を2枚編んで、後ろを繋いで、脇を綴じたもの。
わたしはプラスサイズなので、少し襟を抜いて着ることで、すっきりとした感じになってかわいいかな、と思う。クロップド丈でコンパクトに見せることで、バランスがとれるというか。
実は、当初は袖を付けようと思って編み進めてみたものの、着てみると「なんだか違うな」となり、数時間かけて編んだものを解いてしまった。袖はつけないでいこうと思う。
脇も、実は何度もやり直した。脇の部分は全部綴じず、スリットが入るようになっている。一番最初は袖口以降は裾まで全部綴じてみたのだけれど、だぼっとした感じになってしまって、「これまたなんか違うな」って。(「なんか違うな」という感覚って実はすごく大事)綴じた箇所を解いて、綴じる範囲も試行錯誤して、バランスを考えて、納得いく具合にできたと思う。
こういうとき、パートナーと体型が結構違うということは、悪いことではないなって思ったりする。同じものを羽織ったときの印象や、見た目が全然違ってすごく参考になるから。
例えば、パートナーが羽織ったときは横のスリットは大きくない方が可愛く見えたけれど、わたしが着るときはスリットが大きめの方がすっきりして見える。どっちの綴じ幅を採用するか悩んで、パートナーに合わせたもので今回は落ち着いたわけなんだけれど。また同じパターンで、身頃部分の大きさを調節したものを試作してみようと思う。
シンプルなものなんだけれど、実は工夫というか、あれこれ試したり、失敗したり、これじゃないな、なんか違うなを繰り返すこと。そうやって、良いものをつくっていきたいなと思う。
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