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手編みのカーディガン、売ってます
マタギ、そのはじまり
去年、すごくしっくりくるカーディガンをつくった。市販のものは、プラスサイズの自分には全然似合わなくて、ずっと困っていたから。パターンも自分でデザインして、糸も一から紡いで編んだ。そのカーディガンには、「マタギ」と名付けた。
マタギがあまりにも軽くて、暖かくて、よく自分に似合ったから、それをみていたパートナーも自分用に欲しいとおねだりしてくれた。ポルトガル旅行に出かける数日前で、どうしても旅行に持って行きたくて三日間本気で編んだ。
完成したパートナー用のマタギカーディガンも、本当によく似合って、「これはいいものができたぞ」って心の奥底から本気で思えるものだった。自己肯定感が低くて、自信がない自分にとっては、これまで経験したことのないような強い確信だった。
「このカーディガンをもっといろんな人に着てもらえたらいいのに。」
そう思って、去年から数ヶ月間こつこつカーディガンを編んできた。持病による休職期間中、常に糸を紡いで、編んで、絡ませては解いて。四苦八苦しながら、でも心から楽しみながら。
販売することの葛藤
その一方で、数着カーディガンを編み終えても、次のステップの「販売」には、なかなか進めない自分がいた。正直にいうと、販売するということに、どこか抵抗感があったから。わたしは好きで編んでいるのに、それに対し、お金をいただくということが、心苦しいような、申し訳ないような気持ちだった。
それに、編み物は手間がかかるけれど、どこかクラフトの領域を出ないような気がして、適正な価格というのはなんなんだろう、手編みであることにどんな価値があるんだろうとか、そいういうことを考え始めると、人に届けたいという強い気持ちが、しゅんと萎むというか、これでいいんだろうかって、ついつい考えすぎてしまったりして。
でも、先日、ずっと連載を続けているウェブマガジン「アパートメント」の企画マルシェに、手編みのカーディガンと、ブランケット、帽子を出品してみて大きな気持ちの変化があった。実のところ、マルシェへの出品も、結構ギリギリまで悩んでいて、やめておこうと思っていたのに、気持ちが変わったのは、自分が舌癌だとわかったからだった。もし、今死ぬとしたら、販売するために行動しなかったことに対し、絶対に未練が残るなって思ったから。
いざ、出品のために動き出したら、下準備がとても楽しくて、本当にやりがいを感じたし、作品のバックストーリーを書き始めたら、たくさん想いが溢れてきて、自分はこういうことが好きなんだなって心底思えて幸せだった。
幸いなことに、たくさんの人に応援してもらったり、声をかけてもらえたり、購入してくれた方もいらっしゃった。マルシェ以外でもずっとファンだったフィンランドのニット作家さんに、カーディガンを購入できないかと問い合わせてもらったとき、驚きと、嬉しさで飛び上がるくらいだった。
やろうと思って動き出したら、自分のまわりの空気が変わっていくんだなって強く感じた。だから、マルシェ企画は終了したけれど、今度は自分でお店をつくろうと思ったわけです。
【 Mais ou Menos 】というのは、ポルトガル語で「まぁまぁ」という意味。パートナーと「アパートメント」上で続けている、往復書簡のタイトルをブランド名にして、自分たちのお店にしました。
Mais ou Menos maisoumenos.stores.jp
少しずつ、自分たちが今やっていることを、この場で紹介できたらと思っています。今後、オーダーメイドやお直しの依頼ができるようにしていく予定なので、それも合わせて期待してもらえたら。
そんな感じで、手編みのカーディガンをつくって、売っています。
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